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Vol.97 福沢諭吉について(12)

J・H のささやき VOL.97 『福沢諭吉について(12)』
                ~ 「学問のすすめ」 より~
第十編は、『前編の続、中津の旧友に贈る』です。
『独立とは、一軒の家に住居して、他人へ衣食を仰がずとの義のみに非ず。
こは唯内の義務なり。尚一歩を進めて外の義務を論ずれば、日本国に居て日本人たる
の名を恥しめず、国中の人と共に力を尽くし、この日本国をして自由独立の地位を得
せしめ、始て内外の義務を終えたりと云うべし。
故に一軒の家に居て僅かに衣食する者は、これを一家独立の主人と云うべし、未だ独
立の日本人と云うべからず。
試みに見よ、方今天下の形勢、文明はその名あれども未だその実を見ず、外の形は備
われども内の精神はむなし。
今の我海陸軍を以って西洋諸国の兵と戦うべきや、決して戦うべからず。
今の我学術を以って西洋人に教ゆべきや、決して教ゆべきものなし。
かえってこれを彼に学びて、尚その及ばざるを恐るるのみ』
自分の家で起居していれば、それは、独立した主人ではあるが、独立した『日本人』と
は言えない、と苦言を呈しています。
たとえば、現状を見れば、外形だけは備わっているが、内実はまったくなっていない。
西洋諸国と戦争になれば、とてもかなわないだろう、だから戦争はするな。
また、日本人が西洋人に教えるべきものがあるか、ないだろう、今でも教わるのみで、
はなはだ心もとない。
西洋人のレベルにはいまだ達していない、という慨嘆が述べられています。
福沢の切歯扼腕がよく表われています。
文面から判断できるのは、近代的な機械、装置といったモノの面が強調されていること
です。つまり殖産興業に励め、そのために学問に励め、言っています。
 
『今我国内に外国の器品を買入るるは、我国の工業拙なる故に、暫く銭と交易して用を
便ずる者なり。この人を雇い、この品を買うがために金を費すは、我学術の未だ彼に及
ばざるがために、日本の財貨を外国へ棄ることなり。国のために惜むべし。
学者の身となりては恥ずべし』
日本はまだ自前でロクなものを作れないから高い金で外国の技術者を雇い、かつ外国か
ら製品を買っているが、これは惜しいことではないか、と述べています。
『西洋諸国と戦争するな』との言葉は、自国の軍事力の低さを知っていたからですね。
学問のすゝめが書かれたのは明治4年から10年にかけてですから、当時の時代背景を
考えると、戦争の脅威があり、そのためには、軍事力も含めた総合的な技術力を持たね
ばならない、という認識です。
しかし、現今の日本にはそんな実力はない、という思いです。
高い技術力がなければ、強力な軍事力は持ちえません。
当時の世界情勢に通じていた福沢は、軍事力がない故に、西洋列強によって収奪されて
いる弱小国家がいくつもあることを知っていました。
となると、それでは独立はおぼつかない、となりますね。
 
しかし、これは、軍国主義とは違います。独立を守り、植民地にならないための、当た
り前の防衛力のことです。正当な武力保持です。
(理想は世界中から武力が消滅することですが、これは夢のまた夢ですね。
アインシュタインが面白いことを言っています。もし第4次世界大戦が起きたなら、そ
の時は、おたがいに棍棒で戦うようになるだろう、と。
このブラック・ジョークの意味、おわかりですよね?)
 
さて現今の日本は、車をはじめとして、様々な先進機器、つまりは『道具』ですが、世
界中に輸出して、外貨を稼いでいます。日本も世界中から買っています。
しかし、こと防衛品についてはどうでしょうか?
我が国は、某超大国から、言い値で武器を購入させられているようです。
どれほどの散財を強いられているのか?
まさに『日本の財貨を外国へ棄ることなり』に等しい行為です。
   
福沢なら、『御一新から150年もたっているのに、まだそんなテイタラクなのか、
自前でなんとかしろ』と怒ると思うのですが、いかがでしょうか?