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VOL.142 福沢諭吉について (22)

J・H のささやき VOL.142 『福沢諭吉について (22)』
           ~「学問のすすめ」より~
第17編  人望論
いよいよ、このコーナーも今回で終了です。
人望論……うん、これは難しい。
あいつには人望がある、あいつには人望がない、とよく使われます。
 
『十人の見る所、百人の指す所にて、何某はたしかなる人なり、たのもしき人物なり、
この始末を託しても必ず間違いなからん、この仕事を任しても必ず成就することなら
んと、あらかじめその人柄を当てにして、世上一般より望をかけらるる人を称して、
人望を得る人物と云う』
人望のある人間とは、『ああ、あいつに任せておけば、なんの心配もいらないよ、ち
ゃんと仕事をしてくれる奴だよ』と太鼓判をもらえる人間、ということです。
『一府一省の長官と為りて、ただに金銭を預かるのみならず、人民の便不便を預かり、
その貧富を預かり、その栄辱をも預かることあるものなれば、かかる大任に当たる者
は、必ず平生より人望を得て、人に当てにせらるる人に非ざれば、とても事を為すこ
と叶いがたし』
  
人望のある人は、平生より何事についても当てにされる人で、そういう人でなければ
『事を為すことは叶わない』
至極もっともな話です。
ですから、企業のトップには、人望のあるひとが多い。
会社を支え、社員を支え、大企業ともなれば、社会さえ支える。
(ゴーンさんは別?)
翻って、現今の政治家を見るに、さて、いかん?
質問にきちんと答えず、放言、失言、暴言の濫発。
あのひとたちは、党内ではきっと人望があるのでしょう、だって、大臣を務めている
んですから!
ということは、人望の基準が、我ら庶民とは違うようです。
まるで雲上人。宇宙人? 
福沢はこの論で、人望を得るための処方箋を述べています。
『第一 言語を学ばざるべからず。文字に記して意を通ずるはもとより有力なるものに
して、文通または著述等の心掛もなおざりにすべからざるは無論なれども、近く人に接
してただちに我思う所を人に知らしむるには言葉の外に有力なる者なし。故に言葉はな
るだけ流暢にして、活発ならざるべからず』
 
人と接するに、最も大切なものは言語、言葉だから、言葉を学ぼう、活発に言葉を交わ
すことが大事なんだよ、と述べます。
言語明瞭、意味不明とか、朴訥というのはダメなんだよ、言葉を学び、磨いてこそ、他
人と意思疎通ができるんだ、と。、
これは、阿吽の呼吸とか、多言を弄するなとか、そういった日本的な慣習の打破に通じ
ますね。流暢な言葉でお互いに活発に話し合おう。言葉の出し惜しみをするな、と。
『第二 顔色容貌を快くして、一見、ただちに人にいとわるること無きを要す』
苦虫を噛み潰して熊の胆をすすっているような面はするな。
春風駘蕩たる爽やかな表情でいろ、と。
『顔色容貌の活発愉快なるは、人の徳義の一箇条にして、人間交際に於いて最も大切な
る物なり』
いつ見てみて、悩み事をかかえたような表情のひとが、たまにいますが、そういう人と
接すると、気が滅入ります。だから、いつもホガラカでいろ、と。
『第三 人にして人を毛嫌いするなかれ』
世の中にはいろんなひとがいて、鬼でもないし、蛇でもない、殊更に害を与えようとす
る人間はいないのだから、どんなひととも、付き合え、と述べます。
縁は異なもの、味なもの。
これは主に男女関係について言われる言葉ですが、適用範囲をぐっと広げて、人間全体
に言えることです。
福沢は、その時々に出会ったひととはうまく付き合え、
『恐れ憚ることなくさっさと応接すべし』と言います。
これは言うに易し、行うに難しですが、居酒屋なんかに行くと、精神の闊達なひとは、
誰とでもすぐに仲良くなって、オープンマインドになります。
福沢自身が、そのような人柄だったのでしょう。
お互いに胸襟をひらいて、丁々発止、談論風発がよろしい。
 
愚生の経験でも、九州人に、そうしたタイプが多い。
だから、九州人は出世する? かどうかわかりませんが、男はこうありたいものです。 
豊臣秀吉、西郷隆盛、吉田松陰、高杉晋作、みなそんな男だったのではないでしょうか?
 
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓(福沢諭吉について)は、今回で終了でございます。
 
愚生の勝手な『読み方』でここまで参りましたが、読者諸兄が、じかに、福沢の書物を
手にとるようなことにでもなれば、望外の喜びと致します。