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VOL.38-家内の役者たち・洗面台

J・H のささやき VOL.38 『家内の役者たち・洗面台』
こんにちは、ジェームス・ホントです。

『ツラ(顔・面))を洗って出直してこい!』なんて言い方、昔はよくききました
が、最近はとんときかなくなりました。
 
顔をつぶされた、とか、顔を立てる、という表現があることから、『顔』がとても
重要な部位であることは理解できます。
『顔役』というと、少し怖い。
 
顔は『かんばせ(かほばせ)』ともおもて(面)とも言います。
時代劇でよく見ますね。
罪人が首をうなだれてお白洲に座っているところへ、遠山金四郎とか大岡越前がお
出ましになる。
すると側に控えた役人が罪人に呼びかけます。
『おもてをあげい!』 
『ははっ』

朝起きて顔を洗わないひとはいない。歯を磨かないひとはいても。 
顔はどこで洗うのか?
おそらく、家の中なら鏡の据え付けられた洗面台ですね。
使用するのは、プラスティックの洗面器。あるいは蛇口からの水を直接両の掌(た
なごころ)に受けて洗う。洗うと、シャキッとします。
寒い冬は、便利なことに蛇口からお湯も出ます。
 
桶で洗うひとは、まずいないでしょうね。桶はもう家庭で見ることはなくなりまし
たね。
だから、桶がばらけないようにはめる箍(タガ)を知らない。
ゆえに、タガがゆるんでいると言っても、理解できないひとがいます。
 

      『洗顔の謎』

遠い昔、人間はどこで顔を洗っていたのでしょうか?
川、池、湖、海の近く?
どこかの水辺まで歩いて行って、両手で水をすくって……
土器が出来てから、そこに水を溜めておいて……
 
いや、そもそも、顔を洗うという行為は、いつからあるのか?
どうもよくわからない。
だいたい、文化人類学でも、民俗学でも、『顔を洗う』という所作について、あ
まりにも日常的なせいか、誰も研究していないようです。
目脂は指で落とせます。つまり、顔をわざわざ洗うまでもない。
なんとなく気持ち悪い、サッパリしたい、ということで洗顔は始まったのでしょ
うか?
 
顔に泥や草がついたら気持ち悪いので、それらを落とすために洗ったのか?
 
やはり他人の視線、つまり、少しでも綺麗、清潔だと思われたい、という欲望が
昂じて、それが原因で生まれた習慣でしょうか?
つまり、『他人の視線』を意識することから始まったのでしょうか?
 
今でも世界には、未開と言われる部族が各所にいますが、そうした連中でも、顔
は洗っているのでしょうか?
毎日洗うのか、何日か置きに洗うのか?
何か儀式がある時だけ洗うのか?
 
      『FaceとAspect』
 
ご存知のように、英語ではFace。モノとしての顔です。
これが動詞になると、直面する、面する、向かうという意味になる。
Aspect(アスペクト)という言葉もあって、こちらは顔つき、容貌になり
ます。
なんとなく内面性と精神性が付与されたニュアンスがあります。
『男は40になったら自分の顔に責任を持て』と言ったのは、リンカーン大統領
でしたよね。 
つまりは、顔の造作を越えて、顔にはごまかしのきかない精神性、内面性がいや
おうなく出てしまうから、心せよ、という意味でしょうね。
愚生が好きなのは、動物写真家の岩合光昭(いわごうみつあき)の顔です。
男臭い白髪の坊主頭ですが、目になんとも言えない輝きがあって、心が和む表情
です。テレビにたまに出るので、一度、ご覧になって下さい。

夏目漱石の『我輩は猫である』に、『鏡はうぬぼれの醸造器であるごとく、同時
に自慢の消毒器である』とあります。

『あらっ、あたしって、こんなに美人だったかしら、でも……ようく見ると、ど
っちかと言うと……あらっ、こんなとこに吹き出物ができてるわ、いやねえ、醜
い顔ね、疲れが出てるわ。ああ、見るんじゃなかったわ。いやだわ、こんな顔で
電車に乗るの。
それに、密かに思いを寄せている素敵なAさんに、事務所でこんな顔見られるの
イヤだわ、今日、仕事、やすんじゃおうかしら』という次第でしょうか?
 
一般的には、現代の男性諸氏は、鏡のついた洗面台で歯を磨き、電気カミソリか
安全カミソリで顔を剃り、そして顔をジャブジャブという段取りかと思います。
その顔がいつもと変わりないことに安心します。
まったく見覚えのない顔がうつっていたら、そりゃあキモをつぶしますね。
 
イギリスの小説家に、オスカー・ワイルド(1854~1900)がいます。
『幸福な王子』で有名ですね。
色々と逸話の多いひとで獄中にも入っています。確か同性愛の罪だったと思いま
す。
 
少年時代のことです。
ある日、オスカーは学校に遅刻します。
『オスカー、また遅刻か、まったく』と教師。
『すいません』
そして授業が終わる10分前に、オスカーは教室を出ます。
教師はビックリして怒鳴ります。
『おいオスカー、どこに行くんだっ、まだ授業中だぞ!』
するとオスカーは平然とこたえたそうです。
『先生、遅刻した分、早めに帰ります』

さて、そんなふざけたワイルドの作品に『ドリアン・グレイ』の肖像があります。
 
悪事を働いて家にもどり、自分の肖像画を見ると、なぜか顔が奇妙に老けて、醜
くなっているのです。不思議なことに絵の中の顔が変形しているのです。
どうして?
主人公は驚愕し、錯乱します。
やがて、どうも悪事の報いだと察しはするが、悪事をやめられない。
そしてある日……
筋は忘れましたので、興味をお持ちの方は『ドリアン・グレイの肖像』をご覧下
さい。

働いている限り、ごく少数のひとを除いて、誰もが家から出て『ひとの中』に出
る時代。
鏡と一体化した洗面台は、普段はほとんど意識されない場所、設備ですが、
『自分を確認し、自分を小奇麗にととのえる』大切な『しつらい』です。

※次回、このコーナー、2回(9月)休載と致します。
夏バテで『虫の息』です。

何卒、ご海容のほどを。
洗面台で推奨システムがお有りでしたら、本メルマガでご紹介します。
情報をお待ちしております。